リテーナー

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 春は卒業、進学、就職、移動等々、とかく慌ただしい日々をお過ごしの方も多いことかと思います。年度末は、師走とはまた違った慌ただしさがありますね。
 さて、そんな慌ただしい時期をさらに忙しくするのがリテーナー(保定装置の事です)の製作です。写真はベッグタイプリテーナーと呼ばれるリテーナーの原型を、私が患者さんの歯列と歯周、口腔全体の状態に最適にデザイン設計し製作したものの一例です。私は治療を行った担当医が、誰よりも患者さんの歯列や歯周、口腔内の状態を最も理解しているのだから、担当医がそれを踏まえて自らリテーナーを製作しリテイン(歯や歯列の安定ですね)させるのが最善と考えています。それはリムーブ(ブレースオフ。ブラケットを歯面から外すことですね)後、リテーナーが歯列の安定に果たす役割が大変大きいからです。技工所に外注してしまうと、設計等は指示できても、それ以上の高度な情報が全く共有されることなくリテーナーが製作されてしまい、折角信頼おける担当医に巡り会いリムーブする所まで来たのに、最後の最後で患者さんにとってこれは大きな損失となります。もっとも、毎回治療する担当医が入れ替わったり、ましてや歯科衛生士がワイヤー交換やブラケットの歯面への接着を行ってい診療所は、それ以前の問題となりますが、、、
 リテーナーは前もって製作するのではなく、ブラケット(ブレースの事です)をリムーブした日にリテーナーの為の印象(歯型の事です)を取り、2~3日後に来院してもらってセットするものなのですが、技工所に外注にするとこの期間ではとても間に合わないのが現実です。矯正科に入局したての頃、技工所の納品期日に合わせて来院日を1週間~10日後にしている診療所で、リテーナーのセット日既に歯列との適合が悪くなっていたり、非抜歯治療の場合、最悪下顎の前歯部の歯列がすでに崩れてしまっていたりしているのを目にしました。また、クリアリテーナーという透明な熱可塑性シート(ホームホワイトニングにも使われています)を使って、リムーブした当日に即日セットできるリテーナーも昔からよく使われていますが、あくまでテンポラリー(当然ですが一時的という意味です)としてのリテーナーというのが私の考えです。クリアリテーナーは透明で目立たないので(最近は銀座にあるアソインターナショナルという技工所が、インビザラインを真似て、というか国産化してクリアアライナーという商品を売り出していますが、原理はこのクリアリテーナーそのものです。何も技工所に高額な技工料を支払わなくても、矯正の知識があればだれでも作れます)患者さんはとても喜びウケも良く感謝され、さらに製作がとても簡単で、かつローコストであることから医院側も大助かりで一見、とてもハッピーなクリアリテーナーなのですが、後に、何かしら問題が発生することがあります。原因は臼歯部の咬み合せが上下のシート2枚の厚み分高くなってしまう為、シートに穴が開くほど調整しても前歯部での咬み合せを浅くしてしまい、後に患者さんが苦しさを訴えたり、不安定な咬合となったり、歯列を乱す舌癖を誘発して前歯部のオープンバイト(開口)を作ってしまったりすることが多いようです(インビザラインはもちろんクリアアライナーも同様の症状が出ます)。また、臼歯部歯列の幅経を維持する力が全く無いに等しいため、次第に歯列が乱れていくこともあります。また、歯列が乱れやすい下顎の前歯部の裏側にワイヤー等を接着するフィックスリテーナーというものもあります。歯の裏側に直接固定するリテーナーであることから、目立たないし、確実で良いように思えますが、下顎前歯の裏側は唾液腺の開口部位で、また、口腔内でも唾液が停滞する部分であることから、フィックスリテーナーのような異物が歯面に接着されていると、非常にむし歯を誘発しやすい環境を作ってしまうことになります。また、接着が部分的に外れて、一本だけずれたりすることもあります。もちろん、リムーブ後も毎月チェックに来院してもらえばよいのですが、それではいったいいつになったらフィックスリテーナーを外すのかという次なる問題が発生します。経験の浅い先生は2~3年後、または経験がないので期間がよくわからず、歯列が安定したら等と説明する事もありますが、例え5年、10年経過して外しても、その後歯列が乱れることはベテランなら誰でも知っているところです。
ということでリテーナーは、ブラケットをリムーブして2~3日後にセットするのが基本と考えているのですが、私も身体は一つですから、連日徹夜をしたとしても当然限界があります。また、患者さんの予定も当然あるわけで、そのような場合は、リムーブ当日はクリアリテーナーを即日製作してセットし、1カ月後に写真のような患者さんそれぞれに最適化したデザインのリテーナーに切り替えてもらいます。また、出向先の医院の場合は、クリアリテーナーを当日作成して即日セットすることが時間的に不可能な場合があります。このような医院では、リムーブ予定日の前に印象を取って貰い、技工所で歯面上のブラケットを削り取ってリテーナーを作製、リムーブの日はこのリテーナーをセットします。リテーナーを技工所に外注する多くの診療所が、この方法を取っています。しかし、リムーブ前の印象であることからリムーブ直後の実際の歯列の状態とは当然異なり、結果、リテーナーの歯列への適合が今ひとつ悪くなってしまい、とうてい満足できるものではありません。既に医院には外注費としてコストが掛かっているのですが、患者さんの歯列の安定には換えられません。私の作製した患者さんに最適なデザイン設計で作製したリテーナーに切り替えて貰う方法を取っています。料理と同じく、何事も手間暇愛情を掛けることが良い結果をもたらします。

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